ドラムドラム

<大太鼓、小太鼓 2>詞・曲:林 尚美

ドラム

大太鼓と小太鼓の合奏です。大太鼓と言って、本当の大太鼓を何個も出して合奏すると、相当な音量に…。脚がついていて、上から下に叩けることから、タムを代わりに使うのも良いです。響き線のついていないタムと、響き線のついているスネア、それぞれの音色の特徴を聞き合って合奏しましょう。
それぞれ一つの楽器を担当して二本のバチで叩くのも良いし、イラストの様に、二つの太鼓を叩き分けるのも面白いです。

(歌 詞)
1・2・3・4  1・2・3・4 ドラムをならせ
1・2・3・4  1・2・3・4 元気にならせ
ドンドンドン  ダンダンダン  ドンドンドン ダンダンダン
ドンドンドン  ダンダンダン  ドンドンドンドンドン オー!

ドラムドラム

・リズム譜の上段が小太鼓、下段が大太鼓です。 大太鼓は長い響き、小太鼓はリズムを刻むという基本は同じです。
・歌詞に合わせてかけ合いを楽しんでください。
・慣れてきたら、大太鼓の「ドンドンドン」を「ドドーンドン」とか「ドンドドドン」、小太鼓の「ダンダンダン」を「ダカダカダン」「ダンダカダンダンダ ン」などと変えて、レベルアップしてみてください。
・下記は子どもが手元に置いて見るための視覚支援用歌詞です。色丸のところを叩くように促します。

大太鼓手元楽譜
小太鼓手元楽譜

<コラム>

 自閉症の明くんは、はじめ、バチで太鼓を叩くことが出来ませんでした。自閉症の認知的な特性として、道具を体の延長として捉えて操作することが難しいことがあります。明くんは、バチを渡しても、叩く方を真上に向けて握ってしまったり、先端を太鼓に当てることができず、持っているだけだったり。音を出すことが出来ません。だから「音楽なんて面白くないし、太鼓を叩くのもきらい!」ってなっていたんです。
  棒状の物を扱うことは難しい段階と判断し、フェルト玉をハンカチで包みお弁当包みの様に結び目を作り、そこを握って持てるようにした玉のバチを作りました。ちょうど明くんのげんこつくらいの大きさの物です。これを渡すと、太鼓の面に当てるイメージが出来たようで、げんこつで叩くようにして太鼓を鳴らすことが出来ました。これができるようになったら、次は短いバチを渡してみました。はじめは以前の様にバチの先端を上に向け、バチの根元のところを持って握っている側のバチのはじを左右同時に太鼓に当てるような叩き方でした。バチの先に近いところにカラーテープを貼って、そちらを太鼓に近づけるという意識付けをしてみました。手首の角度のコントロールも難しかったのですが、なんとかバチの先を太鼓に当てて叩くことが出来るようになりました。リズムの意識はあるものの、速くなったり遅くなったりしてしまうのですが、指示されたリズムを意識しながら叩くようになりました。それでもまだ左右は一緒の動きです。
 日常の動作の中でも、左右の手の動きを分化させていくことを意識付けしていきました。(交互にひもを引っ張ると人形が上に上がっていくおもちゃで競争をしたり、左手で紙を持ちながら右手のハサミで切り進めたりといった活動です。)その年の音楽の和太鼓の課題では、バチの先に、左は青いテープ、右は赤い テープ を巻き、歌の歌詞にど ちらの色のバチで叩いたら良いかを示す色丸をつけて見ました。(「どどんがどん」参照)そうしたところ、やっと、左右を叩き分けることが出来るようになったのです。はじめはバチを持つことすらできなかった明くん。ここまでに4年の歳月が必要でした。はじめは授業の中でも、みんなの前に出て太鼓を叩くことさえ出来なかった明くんが、 4年後に学校祭のステージの上で、イラストと同じ二つの太鼓のセットを使って、とても楽しげに左右のバチを使い分けて太鼓を叩いて演じて見せた姿は、本当に感動しました。
 到達して欲しい子どもの姿をしっかりイメージし、わかりやすい教材を用意し、「できる」経験を通して身につけさせていく!当たり前のことですが、あきらめずに経験を重ねていくことが本当に大切です。