
楽器はやりとりをする(自分を表現する、相手の表現を知る)ためのツールです。いろいろな楽器の「おと」によって、いろいろな表現が生まれ、「おと」が重なり合うことで、一人では味わえない共感が生まれます。また、楽器は「言葉」を育てます。言葉はリズムとメロディー(抑揚)で出来ているからです。楽器を使って言葉を表現する、そのことを意識するかしないかで、成果は大きく変わっていきます。「おと」を使ったレシピを紹介します。(カッコ内の数字は、楽器表現で意識する観点を表しています。詳細は下に記しました。)
<タンバリン1>
まねっこ タンバリン
(1)(2)(3)
<タンバリン2>
シャラ ランタンバリン
(2)(3)(11)
<タンバリン3>
タンタンタンバリン
(2)(3)(11)
<ラップマラカス>
シャカポン
(1)(2)(3)(12)
<レインスティック>
雨の音
(3)(12)
<手作り雨太鼓>
あめが あめが
(3)(12)
<和風の打楽器>
まねっこリズム
(1)(2)(3)
<ウクレレ、マラカス>
アローハ!アローハ!
(1)(2)(3)(13)
<ウッドブロック>
ウッドブロックたたきましょう
(1)(2)(3)(9)(12)(13)
<大太鼓、小太鼓1>
たいこをたたこう
(2)(3)(12)(13)
<大太鼓、小太鼓2>
ドラムドラム
(2)(3)(12)(13)
<大太鼓、小太鼓3>
笑って笑って
(2)(3)(12)(13)
<木琴、鍵盤ハーモニカ>
あ め
(2)(3)(9)(12)
<笛>
口笛吹けば
(3)(4)(5)(6)
<リコーダー>
風がわたる
(4)(5)(6)(10)
<トーンチャイム、グロッケン>
クリスマスに祈る
(8)(9)
<和太鼓>
どどんがどん
(1)(2)(3)(12)(13)
<楽器表現の要素について>
音楽室にはたくさんの楽器があります。学校を卒業してしまうと、特に大きな楽器については、楽器に触れる機会さえ少なくなってしまいます。なので、教育期間の間にできるだけたくさんの楽器に、たくさん触れる機会を持ちたいものです。
楽器で音を出すことは、コミュニケーションの学習にはとても大切な要素です。単に「演奏」として捉えるだけでなく、その楽器を使って、何をどのように表現するのかを意識して音を出すことが大事です。それはとりもなおさず、表現できる「言葉」の豊かさにつながっていきます。「音」として返ってくることで、 自分に対するフィードバックもでき、表現する喜びが生まれます。
その楽器を通して何の表現を目指すのか、以下のポイントで整理して見ていただけると幸いです。
<リズムの表現>
(1)言葉のリズム
(2)拍、いろいろなリズム
(3)リズムの切り替え
<吹く>
(4)口のまわりの筋肉の機能分化、向上
(5)呼気の調整
(6)発声と発音
<音程の表現>
(7)鍵盤(ピアノ、キーボードなど)
(8)ベル・チャイム(みんなでメロディーを奏でる)
(9)打楽器(木琴、鉄琴など)
(10)吹く(リコーダー、鍵盤ハーモニカ)
<体の動き>
(11)ボディーイメージ
(12)力、動きの調整
(13)左右の手の使い分け
それぞれの歌でポイントを絞って、できるだけシンプルに表現できるように工夫しました。自分の演奏表現を豊かにすることも大切ですが、友だちと音を重ね合うことで さらに豊かなサウンドが生まれます。その子の段階に応じたスタイルでそれぞれが参加することで、一つのサウンドになるように意識していきます。
また、楽器の特徴を生かしたアレンジ、合奏の時には「バンド」なのか、「オーケストラ」なのか、音の役割を考えたアレンジをして、「ホンモノ」のサウンドを仕組んでおくことが大切です。音質をそろえるもしくは対抗させる、ベースを支える楽器とその上で自由に歌う楽器など、骨組みをきちんと考えて構成する と、重なりの豊かな安定したサウンドになります。