うたのレシピについて

からだのレシピ

「音楽」の授業と言えば、小学校、中学校では当然、教科書に沿って展開されています。特別支援学校でも、それにみあう内容の授業を構成するようにというこ とになっています。しかし、特別支援学校に在籍している子どもたちは、実態の幅も広く、それぞれに出来ることが限られているため、それをそのまま当てはめようとしても無理があります。さらには、「音楽」の授業で学ぶことの内容も広く、学ぶべき課題を細やかにとらえる必要があります。

そこで、子どもたちにわかりやすく、「自分でできる」ことで楽しく音楽の表現や演奏ができるように工夫をした教材を作ってきました。子どもたちの生活年 齢に応じた生活語彙を使い、その通りに動作をしたり、演奏したりすれば思わずできてしまうような歌たち。「できる」ことで音楽の授業が好きになっていきま す。子ども同志の自然なふれあいも生まれます。リズム、メロディーが表現できるようになると、表出言語がない子どもたちの中に「言葉」が生まれていきま す。生活の中ではできなかった動きができ、表情や表現の幅が広がります。このように、コミュニケーションに必要な要素を、「練習」や「訓練」と意識せずに 楽しく身につける事にこそ、特別支援学校の「音楽」の大切な役割があります。

曲に子どもを当てはめるのではなく、子どもたちにやってもらいたいことが実現できるような仕掛けをして、思わずやってしまう状況を曲の中に作っていくの です。毎年重ねて行くことで、今年できたことの上にちょっとだけ難しい要素を加えて、次の課題にしていき、できることを増やしていきます。
また、特別支援教育を受けている子どもたちの集団は、能力の幅が広く、それぞれにできることも違います。友だち同士関わることが苦手な子もいます。一つ の曲の中に、それぞれの段階を踏まえ、どの段階でも参加出来る工夫をし、出来る子はさらに難しいことができるように、苦手な子は少しでも楽しく参加できる ような要素を取り入れながら、時間と場を共有していきます。苦手な事こそ、音楽の力を借りて学んで欲しい事でもあります。能力で集団を分けるのではなく、 全体の底上げをしながら、全員で構成していくことも、大切な要素と考えています。

このサイトで紹介するのは、筆者が30年以上にわたり、子どもたちと関わる中で生まれてきた歌たちです。「目の前にいるこの子たちに、“これ”を楽しく やってもらうために はどうしたらいいんだろう?」と考え、悩みながら作ってきました。そこには子どもたちの「笑顔」と「達成感」、保護者の「感動」など、たくさんの栄養が追 加されています。私は、この曲たちをそのまま使ってもらうというよりも、そのエッセンスを読み取っていただき、今読んでいただいているあなたの目の前に いる子に、どうすれば伝わるだろう?と考えていただくきっかけにしていただきたいと思っています。
どうぞ、「音楽」の授業が楽しい時間となりますように。

ドンドン橋

<うたのレシピの使い方>

・うたのレシピは「からだのレシピ」「おとのレシピ」「みんなのレシピ」の三部構成で す。
「からだのレシピ」…体をつかった表現やボディーイメージ作り、友だちと の動作表現
「おとのレシピ」 …楽器を使った表現
「みんなのレシピ」…みんなで一緒に動くことやゲーム、集いや卒業の歌

・それぞれの中で紹介されている歌一つずつが一枚のレシピになっています。
その歌の概要 歌詞 楽譜 身振りや動き方のイラスト 伴奏音源 動作のムービー 使い方の説明やアレンジの方法   その歌が生まれた経緯やエピソード(エピソードは事実に基づいていますが、ここに登場する子どもの名前はすべて仮名です。)

・使われている楽譜、動作のイラスト、伴奏音源など、どうぞご自由にダウンロードしてご活用ください。

・使ってみた感想や質問、ご意見などお寄せいただけるとうれしいです。
Mail: naomi_smile_0319@yahoo.co.jp

<プロフィール>

林 尚美

林 尚美

横浜国立大学教育学部 養護学校教員養成過程を卒業後、障害のある子どもたちの学校で教諭となる。視覚障害、知的障害、聴覚障害、肢体不自由など 様々な障がいを併せ持つ子どもたちの指導にあたる。「音楽」の授業を担当し、実践を重ねる。
視覚障害の指導では、特に「弱視」の子どもたちの視機能評価と視覚活用について研究している。

現在横浜市の特別支援学校に勤務。昼休みミニライブをしたり、歌入りの絵本のライブなどを行っている。
中学在学中フォークソングクラブ所属 高校在学中軽音楽部所属以来アコスティックギターを弾いている。
2002年よりピアノ演奏を上田浩司氏に師事。以来、ピアノの演奏にはまる。
Mail: naomi_smile_0319@yahoo.co.jp

ku

上田 浩司        作・編曲、ピアニスト

(8曲について、作曲をしてくださいました。)
・ロンドンミュージカル 「スターライトエクスプレス」日本公演ツアー
・コーラスグループ「サーカス」サポートメンバー
・音楽座ミュージカル 「とってもゴースト」「アイラブ坊ちゃん」全国ツアー

・中川ひろたか(絵本作家)との講演&全国ツアー・ケロポンズ(遊び歌作家)との講演会&コンサート
・TV番組「キティーズパーティー」オープニング・テーマ作曲
・「橋 幸夫」「松崎しげる」コンサートアレンジ
・ソプラニスタ「岡本知高」コンサートアレンジ
・シルク・ド・ソレイユ「ファシナシオン」「サルティンバンコ」「アレグリア」制作メンバー
・ミュージカル「テニスの王子様」での歌唱指導&ピアニスト
・「みんなの歌」(NHK出版)に編曲連載
・よくばりアレンジで弾くピアノ・ソロ・スコア&CDシリーズ発刊
(シンコーミュージック・エンタテイメント)
現在では、「自然の法則」や「人間の潜在能力を引き出すノウハウ」を取り入れたピアノ・レッスンに夢中で、門下生一人ひとりの成長を楽しみにしています。    と、いろいろとさせていただいてきましたが、何を一番に想うかというと「音楽っていいなぁ」ってこと、時間や空間や気質を感じながら「音楽を心で伝えるって、素敵だなぁ」って、それも、わかりやすく「心地よいこと」が大切だと思っています。
お便りはこちらへ  ko-chan@ba2.so-net.ne.jp

Pony Team

Pony Team

(動作のイラストを描いてくださいました!)
大阪府出身、在住。嵯峨美術短期大学卒業後、学童保育指導員を経てイラストレーターに転身。児童向けまちがいさがし誌や企業キャラクターデザイン等で主に活動。
ブログ http://ponyteam19.blog108.fc2.com/

<キャラクター>

はっぴーらっきー

これは、朝の歌として作った歌の歌詞からうまれたキャラクターです。
HappyのHをモチーフとしたはっぴーちゃん
LuckyのLをモチーフとしたらっきーくん
美術の高橋善一先生の作です。私の作った歌から生まれたキャラクターということで、この「うたのレシピ」のシンボルキャラクターとなりました。

ソラくん
レミちゃん

ソラくん レミさん

「うたのレシピ」の歌の紹介のため、二人で協力して、歌に合わせて踊ったり楽器を演奏してくれたりしています。
Pony Team作